

日本には、豊かな自然が残されており、そこには数多くの淡水魚が生息しています。
熱帯魚とは違い、日本の淡水魚は一見すると地味に見られがちですが、産卵の時期には熱帯魚も顔負けの極彩色を現し、その一方で野生的な面を感じさせてくれます。
幼い頃に、川遊びや釣りなどで遊んだことのある方は多いことでしょう。
タナゴやフナ、ハゼなど、身近な自然にも数多くの魚を見ることができましたが、現在、それらは少しずつ数を減らしてきているのをご存知でしょうか?
主な原因としては、護岸工事などによる生息地・産卵場所の減少や、ブラックバスなどの外来生物による影響だといわれています。
昔から馴れ親しんだ日本淡水魚が、このままでは自然界では見られなくなってしまうかもしれません。

日本の淡水域には、川・湖沼・田んぼ脇にある用水路などに数多くの種類が生息しており、その数は数百種類にも及びます。
同じ種類の魚でも地域ごとに色彩が異なり、分類が正確にされていない種もあります。これらは一部の種類を除き、ほとんどの種類が常温で飼育可能です。
ここでは、飼育方法と人気の高い種類をご紹介します。

タナゴの飼育は、容易な種類が多く、種類によっては繁殖まで楽しむことができます。人気のある種類には、タイリクバラタナゴ、ニッポンバラタナゴ、ヤリタナゴ等があります。
タイリクバラタナゴは帰化種ですが、飼育が容易で年間を通じて美しい婚姻色を見せることから、初心者の方におすすめの種類です。透明鱗やメタリック等の改良品種も作出されています。

数センチのモロコ、モツゴや大型になるコイ、フナ、清流域に生息するオイカワ、カワムツ等が含まれます。
飼育はいずれも容易ですが、清流域に生息する種類は活発に泳ぎます。また、コイは大きくなるため、広めの水槽を用意する必要があります。
モロコ類やフナは、『いぶし銀』という言葉がよく似合うような渋い体色で、銀色の金属光沢は、角度によりキラキラと輝きます。
また、コイ科では日本唯一の肉食性魚類のハスがいます。
『へ』の字に曲がった独特の口と赤紫色の美しい婚姻色が特徴です。

ヤマメ・イワナ・ニジマス等の渓流魚、ナマズ、大型のハゼ等が含まれます。
これらは、魚・甲殻類・昆虫等を食べる種類です。
どの種も食性から混泳が難しく、同種でも縄張り争いをすることがあるので、単独飼育か隠れ家を用意して広めの水槽で飼育します。
渓流魚は冷水域に生息するため飼育にはクーラーが必要になります。
水温は夏場でも20℃を越えないようにします。水の汚れにも敏感なため、フィルターには余裕を持たせます。

日本全国の平野部の水田や湿地などに生息しています。
雑食性で、ユスリカの幼虫などを主に摂食し、味蕾(みらい)が付いたひげで食物を探します。
ドジョウは砂に潜って身を隠すこともあります。細かくて丸い砂を底砂に敷くとドジョウの体に傷が付きません。
小さな土管やシェルターなどでドジョウの隠れ家を作ると、水槽内でドジョウの生活風景を観察することができます。

ハゼは淡水域、汽水域、海水域などいろいろな場所で生息しています。
長い歴史を経て、湖や離島の川などでは独自の進化を遂げているハゼもいます。これらのハゼの多くは日本固有種です。
体長1cm足らずのゴマハゼやアユカケ、ヨシノボリ、カジカなど、さまざまな種類が日本の川や湖などに生息しています。
ハゼを水槽で飼育する上で石は必需品です。石と砂利の隙間などに隠れたり、石の表面に付いたコケなどを食べたりします。

魚の種類、飼育匹数、大きさに合わせて選びます。日本淡水魚は活発に泳ぐ種類が多いので、広めの水槽を用意すると自然下での生態を観察できます。
フィルターとも呼ばれる観賞魚飼育には欠かせない器具です。いろいろな方式のものが販売されていますので、水槽の大きさや飼育匹数に応じて選びます。
水槽内での観察や魚を美しく見せるために必要な器具です。暗い室内では魚の健康に悪影響が出ることがあります。規則正しい日照サイクルを作ることも大切です。
自然の雰囲気を演出し、魚を落ち着かせる効果があります。底砂の各種組み合わせや流木・石等を組み合わせることで、生息環境により近づけることができます。
水草は魚の隠れ家になり、落ち着かせる効果があります。見た目も華やかになり飼育が楽しくなるでしょう。育成しやすい種類には、アナカリス・マツモ・バリスネリア・カボンバ等があります。これらを組み合わせて水草レイアウトを作るのも良いでしょう。コイ科の種類には草食性の強い種類がいるので、食べられてしまうことがありますが、魚の健康状態を良くしてくれます。
生物たちの快適な環境をつくるには、安定した水質はもちろんのこと、安定した水温を常に維持し続けることです。水温の低下には、ヒーターを使って温めれば良いのですが、夏場の高過ぎる水温では、適温になるまで冷却しなくてはなりません。