
小さくてかわいらしく、丈夫で手軽に楽しめる身近な生き物の「メダカ」。
水に浮かばせたままで難しい管理がいらない植物の「浮き草」。
その両者はともに、簡単に育てられて、ふやしやすいという共通点があります。
6~8月は、気温と水温が上がり、メダカにとっても浮き草にとってもふやしやすい時期といえます。
そこで、このページでは、「メダカ」と「浮き草」の種類とふやす楽しみ、その魅力をご紹介いたします。
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メダカは、体長約4cmほどの小型の魚であり、観賞魚としては金魚と同じくらいになじみの深い魚といえるでしょう。
かつて、日本各地の流れの緩い小川や池・沼などに棲息していましたが、用水路の発達と魚食性の強い外来魚の繁殖によってその数は激減しているといわれています。
最近では、クロメダカのような天然の品種の他に、ヒメダカやシロメダカやアオメダカなど品種改良や突然変異によって産まれたさまざまな品種が養殖され、安価で手に入れることが可能になりました。
また、観賞価値の高い品種も続々と誕生し、バラエティに富んでいます。 -
浮き草とは、水面に浮ぶ水草のことです。
水面にただ漂っているだけではなく、水質浄化に役立ちます。太陽の光をたっぷりと浴びることで光合成を行い、新しい葉や茎を伸ばし無性生殖(むせいせいしょく)という方法で分裂していきます。
水草と同様に根を伸ばしますが、植え込む手間がいりません。水質の変化にも強いことから難しい管理の必要もありません。
浮き草は、メダカなどの小魚の隠れ家にもなります。また、その根はメダカが卵を産み付けやすい形状になっており、メダカの繁殖に最適です。

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メダカは、小さなスペースでも十分に飼育することができます。今回は、横幅約20cmの小型水槽でメダカを飼ってみました。
一生懸命にひれを動かしてのびのびと泳ぐメダカたち。水槽に水を張るだけでは、臆病なメダカたちは落ち着けません。メダカのような小さな魚たちにとって、身を隠すことのできる環境を整えてあげるのも飼育の楽しさの一つです。
そこでおすすめなのが「浮き草」です。植物なので葉に光を当てる必要がありますが、水面に浮かべておくだけと難しい管理がいりません。メダカにとっては、「葉」が上からのぞきこむ外敵の盾となり、「根」に隠れて水中での外敵から身を守ります。浮き草は、メダカにとって家のように安らげる場所であり、水槽に入れることでメダカたちも落ち着いて泳ぎ回ります。
※浮き草を選ぶ時は、水槽の大きさに合わせて選びましょう。あまりに株や根が長いとメダカの泳ぐスペースがなくなり、見栄えも良くありせん。 -
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①:「飼育水槽」
最低でも20cm以上の水槽を。メダカが飛び出さないように、水位を5cmくらい下げて水を入れるのがおすすめです。
※この水槽では10匹程度、オスとメスを混泳させています。
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②:「浮き草」
画像は、水槽を上からのぞいた様子です。上からの外敵に身を隠そうとしています。
メダカにとって、浮き草は隠れ家となります。 -
③:「メダカ(楊貴妃)」
画像は、楊貴妃メダカの飼育風景です。メダカは、小さい魚ながら動きが速く、水面すれすれを泳いだり、底に落ちている餌をついばんだりと、自由に泳ぎ回ります。 -
「もしもメダカが産卵したら」
水温が18℃以上を保てる環境で、カップルが成立すると産卵を期待できます。メスは、交尾を終えるとお腹が膨らみ、やがて卵を房状にぶら下げたまま泳ぎます。

生き物を飼育する上で、一番の醍醐味といえるのが「繁殖」の瞬間かもしれません。
大事に育てた生き物が、その環境で命をまたつなぐという素晴らしい瞬間に立ち会えることができます。
メダカも同様に、飼育している環境でうまくいくと卵を抱え、そこで卵を産み付けます。
せっかく産まれてくる命ですから、大切に育ててあげたいものです。
メダカは水草などの柔らかく細かな繊維状の場所に卵を産み付けます。
新しい命のためを思うと産み付けた卵を見過ごす訳にはいきません。せっかくレイアウトをした水草を引っこ抜いて移動させるというのもなかなか難しいことでしょう。
そこで、メダカの産卵にとって最適なのが浮き草です。浮き草は、水中に垂れ下がるように根を伸ばします。その根は、柔らかく細かな繊維状ですので、卵の産み付けには最適といえます。
飼育下においては空間が限られていることから卵が狙われやすく、親メダカや他の魚が産み付けた卵を食べてしまうこともあります。ふ化するまでの間、卵が食べられてしまわないように隔離する必要があります。
浮き草なら、そのまま容器にすくって産卵箱への移動が簡単に行えます。
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④:「隔離用の小型水槽」
浮き草の根に卵を産み付けたら、飼育水と浮き草ごと小型に移します。この時、大切なのが卵を空気に触れさせないことです。 -
⑤:「産み付けた卵たち」
外敵のいない安全な環境で、卵をそっと見守りましょう。 -
やがてこんな小さなメダカの赤ちゃんが生まれてきます。
ふ化後、約3日間はお腹に栄養を蓄えているので餌はいりませんが、成長に応じてベビーフードを与えてあげます。

毎日、餌を与えることでメダカたちは、餌を欲しがって近づいてきます。
浮き草は、光を与えることでイキイキとして鮮やかな色合いの葉を広げていきます。
やがてメダカは卵を抱え、浮き草は花を咲かせ新しい株をふやし、新芽を広げてゆきます。
水槽やビオトープなどの小さな空間でも一生懸命に生き、やがてふえていきます。
そんなほほ笑ましい瞬間と命の営みを観察してみませんか。生き物が誕生する素敵な光景をぜひご覧ください。
