短い子猫の時期にどれだけ急成長をするか知っていますか?
子猫の体重は成長前期と呼ばれる4ヵ月までに約8~14倍にまで急成長します。その後、12ヵ月までの成長後期では2~3倍程度と成長スピードは徐々に緩やかになっていきます。
トロっとして子猫でも食べやすそうだからと言って成猫用のフードを与え続けてしまうと、子猫に必要な栄養がきちんと摂れなくなってしまいます。
「知り合いの家で生まれた子猫を急に引き取った」「道端で迷子になっていた子猫を拾った」など、子猫との出会いが突然の場合、子猫用のフードではなく手軽に買える成猫用のとろとろ形状ごはんをあげてしまうかもしれません。でも成猫用フードにはそんな落とし穴があるんです。
子猫のフード選び、慎重に行ったほうがよさそうですね。
子猫のごはん選びの重要さが分かってきたところで、子猫時代の成長率の違いに対しても配慮しないといけないことに気づきます。
成長前期は急激に成長をするため、成猫の3倍のエネルギーが必要です。
脂肪を消化する能力が高い一方、でんぷんを消化する能力が非常に低く、1回の食事量が少ないため何回もごはんを食べないといけません。
成長後期になると1回の食事量も増え、デンプンを消化する能力が向上します。成長率も前期に比べると緩やかになるため、カロリー控えめで、筋肉の成長に合わせてタンパク質を多く含んだフードが適しています。
成長後期は、既存の脂肪細胞のサイズが大きくなる成長前期と比べ、脂肪細胞の数自体が増殖します。そのため脂肪細胞が増殖する成長後期に太らせてしまうと、成猫になっても太りやすく痩せにくい体質になってしまいます。
ここまで差がある成長前期と成長後期。
ただ子猫用のフードを選んでいれば安心というわけではなさそうです。
子猫の時期は消化能力が未熟のため、栄養を吸収する力が弱くお腹の不調が頻繁に起きてしまいます。
身体の成長に伴って、腸の成熟、消化酵素と消化能力の発達、腸内フローラも成長します。
元気な腸を育てつつ、お腹を健康に保つフード選びがとっても大事な時期なんですね。
「一生の健康は腸から」と言うように、猫の腸活は子猫時代から始まっているんですね。
また消化器だけではなく、愛猫の賢さや感受性を支える脳が、急激に発達する時期でもあります。
子猫の脳は生後たった数ヶ月で成猫の90%の大きさに達します。
脳が成長するこの大事な時期には、急速な発達を支えるタンパク質と脂肪酸(DHA)に配慮しなければいけません。
そして、もう一つ子猫期に重要なことは身体を守る免疫について。
免疫のはざまって聞いたことはありますか?
生まれたばかりの子猫は、そもそも病気に対しての抗体をほとんど持っていません。そのため生まれた直後に母親の初乳を飲むことで、母親からの移行抗体を受け取るのです。
しかし、初乳から受け取った母猫からの移行抗体は徐々に減少し、生後4週頃には病気を防ぐラインを下回ってしまいます。子猫自身が自然免疫を獲得する12週ごろまでの免疫システムが低下している時期は「免疫のはざま」といい、体調を崩しやすく病気にかかりやすい時期なのです。
また、免疫細胞の約70%が腸管に存在すると言われていて、実は腸と免疫には密接な関わりがあります。健康な腸内環境を維持することが、免疫力の維持に非常に有効なのです。そのため免疫が不安定な子猫の時期ほど腸内フローラを整えてあげないといけません。
免疫のはざまの頃にお家に来ることが多い子猫は環境の変化のストレスもあって、特に体調を崩しやすく気が抜けない時期なんですよ。
ここまでで、子猫の身体づくりのために、とても大事な成長期だという事は分かりましたね。そして子猫の時にはもう一つ、生涯にわたって関係する大事なことが育まれます。
猫を飼っている飼い主さんの多くが直面する「食べない」悩み。
実は、胎児期から成猫になるまでの食事の経験が、その猫の生涯にわたる食事の好みに影響を与えます。
子猫は母猫の摂食行動を真似し、ほとんどの場合、離乳を終えて最初に食べていた食べ物を長期にわたって好むと言われています。そのため猫の食の好みは、この時期に決まるのです。
ですので、この時期に栄養バランスの取れたドライフードとウェットフードのミックスフィーディングを行うことで、将来の安定した食生活につながっていくんですよ。